2025/10/21 09:00

こんにちは、MARIPOSA organic storeです。
前回は、リンデンが育つ“静寂の森と大地の国”ロシアについてお話ししました。
Vol.2では、その大地でどのように人々がはちみつと生きてきたのか──
ロシアにおける、はちみつの長い歴史をたどります。
■ 森とともに生きた“はちみつの民”
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ロシアでの養蜂の歴史は、千年以上前にさかのぼります。
古代スラヴの人々は、森の中で野生のミツバチの巣を探し、
木の空洞から蜜を採る「ボルト」と呼ばれる方法で暮らしていました。
砂糖がまだなかった時代、
はちみつは甘味料であり、薬であり、
そして神聖な“森からの贈り物”でした。
修道院では「神が与えた薬」として保存され、
風邪や傷の治療にも使われていたと伝えられています。
■ 蜂林──教会と貴族が守った森
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中世になると、はちみつと蜜蝋の価値はさらに高まります。
教会では蝋燭に蜜蝋が欠かせず、
修道院や貴族は森を「蜂林(Bee Forest)」として管理しました。
人々は自然から奪うのではなく、
蜂が棲みやすいように木に人工の巣を彫り、
“森と共存する養蜂”が生まれたのです。
この頃から、はちみつはロシア文化と宗教の象徴となっていきました。
■ 19世紀、近代養蜂の夜明け
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19世紀、ロシア帝国領ウクライナ地方で
ペトロ・プロコポヴィッチという養蜂家が登場します。
彼は世界で初めて「取り外し可能な巣枠式巣箱」を発明し、
蜂を殺さずに採蜜できる技術を確立しました。
この革新によって、養蜂は大きく進化します。
蜂群を守りながら安定した採蜜が可能になり、
ロシアは“近代養蜂発祥の地”の一つとして知られるようになりました。
■ ソ連時代の国家養蜂
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20世紀に入ると、ソ連政府は養蜂を農業の一部として制度化。
「集団農場(コルホーズ)」や「国営農場(ソフホーズ)」に
大規模な養蜂場が設けられました。
科学的な研究も進み、
ロシア各地で品種改良やミツバチの衛生研究が行われ、
国家レベルの養蜂システムが築かれました。
■ 現代ロシアと多様なはちみつ文化
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ソ連崩壊後、養蜂は再び個人や家族経営へと戻りました。
現在のロシアでは約30万人以上の養蜂家が活動しており、
土地ごとに異なる花々から、多様なはちみつが生まれています。
極寒のタイガ、温暖な草原、黒土の平原。
そのすべてが、ロシアの“地域ごとの味わい”を形づくっています。
森に巣をつくる蜂。
それを見守り、少しだけ分けてもらう人。
この共生のかたちこそ、ロシアが千年かけて育ててきた文化です。
10月下旬に販売開始予定の
MARIPOSA World Rare Blooms Honey / リンデンは、
その伝統の延長線上にある、
「森と人の静かな対話」から生まれた一匙です。
※商品ページから「販売開始のお知らせを希望する」を押していただくと、販売開始時にお知らせが届きます。
次回Vol.3では
リンデンの香り成分「ファルネソール」「グラニオール」がもたらす
“癒しのメカニズム”についてお話しします。
 
							

